タイの工業団地

タイ全国には数多くの工業団地があります。工業省管轄の公社であるタイ工業団地公社が所有している工業団地だけでも47カ所(このうち公社が直接運営管理しているのは11カ所、民間企業との合弁事業による運営管理しているところは36カ所)となっています。タイ工業団地公社は、タイにおける工業団地の開発と運営を通じて工業の発展を進めることを目的としており、直接的、間接的に運営管理する工業団地は上下水道、電気、電話などのインフラ整備や、銀行・郵便局、ショッピングセンターなどの生活に必要なものまで整っています。

またタイ工業団地公社が運営管理する工業団地には日系企業が多数進出しています。2009年の公社による発表では、投資受け入れの約40%を日系企業が占めており、最も大きな比率となっています

 

■タイにおける主要な工業団地
 

○バンコク

人口824万人を越える東南アジア屈指の世界都市です。また都市圏人口は1450万人を越えています。


・バーンチャン工業団地(Bangchan Industrial Estate)

バンコク中心から25km、クローントゥーイ港から30kmにある工業団地です。1982年に竣工されてから好立地という条件もあって、多くの日系企業が入居しています。この工業団地の特徴は防火対策を考慮した設備環境で25カ所以上の消火栓だけでなく消防署も敷地内にあります。


・ラートクラバン工業団地(Lat Krabang Industrial Estate)

バンコクから35km、スワンナプーム国際空港から10km、クローントゥーイ港から45kmにある工業団地です。この工業団地には約300社が入居しており、そのうち約2割が日系企業となっています。


・ジェモポリス工業団地(Gemopolis Industrial Park)

バンコク中心より30km、プラウェート区に位置する工業団地です。別名アンヤターニー工業団地とも呼ばれています。元々は宝石類産業の拠点として1993年に設立されましたが、2008年に免税区に指定されたことにより、コンピューター関連製品や通信機器などの製造工場が誘致されました。


○サムットプラーカーン県

チャオプラヤ川がタイランド湾に流れ出る河口付近に位置する都市です。そのため県庁所在地付近を河口の意味があるパークナムと呼ぶことがあります。スワンナブーム国際空港は県内にあります。


・バンプリー工業団地(Bang Plee Industrial Estate)
バンコクから60kmにある工業団地です。この工業団地から25km圏内にラートクラバン工業団地やバンプー工業団地があり、スワンナプーム国際空港からも遠くありません。この工業団地には約100社が入居しており、約3割が日系企業が入居しています。


・バンプー工業団地(Bang Poo Industrial Estate)
バンコクから約37kmにある工業団地です。金属産業や電気機器産業が活発で、2011年から敷地内でコジェネレーション発電事業が開始されています。この発電事業では、工業団地内へ電気や蒸気を供給しつつ、タイ発電公社へ電気を売っています。


○パトゥムターニー県

バンコクの一部といっても過言ではなく、バンコクの市街地が進出してきています。


・ナワナコン工業団地(Navanakorn Industrial Zone)

バンコクから46kmにあるタイで最初に出来た工業団地です。また国道1号線にあり、環状線から5kmという物流拠点として最高の立地です。


・チュムヌムサップ工業団地(Chum Num Subb Industrial Park)

バンコクから1時間以内という立地に加え、高台に位置する工業団地なので2011年の大洪水でも被害が受けませんでした。また敷地内には天然ガス発電所が設置されています。


・バーンカディー工業団地(Bankadi Industrial Park)

バンコクから32kmにある工業団地で1987年に創設されました。東芝関連の家電や半導体の工場、子会社が数社入居しています。


○サムットサーコーン県

ターチン運河がタイランド湾に流れ出るところに位置している。海岸部にある塩田は有名です。


・サムットサーコーン工業団地(Samut Sakhon Industrial Estate)

バンコクより33kmのところに位置する1990年に開設された工業団地です。


○アユタヤ県

チャオプラヤー川に面する平原地帯にあり、首都バンコクからは北へ約60kmに位置しています。アユタヤ王朝の遺跡群があり周辺の遺跡とともにユネスコ世界遺産に登録(登録名は古都アユタヤ)されており、バンコクから鉄道やバスに乗って多くの観光客が訪れます。


・ハイテク工業団地(Hi-Tech Industrial Estate)

バンコクより約60kmに位置する1989年に開設された工業団地です。国道1号線から32号線に入った左手に位置し、入居する120社の中にはキャノンやHOYAなどの日系企業が入居しています。


・バーンパイン工業団地(Bang Pa-in Industrial Estate)

バンコクより約65kmに位置する1989年に開設された工業団地です。2013年よりコジェネレーション発電事業が始まっています。


・サハラッタナナコーン工業団地(Saha Rattana Nakorn Industria Estate)

バンコクより約90kmに位置する1994年に開設された工業団地です。水へのアクセスが良く豊富な工業用純水を供給出来る強みから自動車部品、電子・電気部品、食品関係の会社が多く入居しています。


○サラブリー県

チャオプラヤ川東岸の地域にある県。東部は台地ですが西部は海抜の低い平地となっています。


・ケーンコーイ工業団地(Kaeng Khoi Industrial Estate)

バンコクより約120kmに位置する工業団地で1990年に開設されました。今のところ日系企業は入居していません。2011年の大洪水では被害は受けなかったものの、タイ工業団地公社より洪水被害の可能性があると呼び掛けられました。


○プラーチーンブリー県

タイ中部の県の一つ。。クメール時代から栄えていた地域で、県内にはクメール遺跡が残っています。


・304 工業団地1(304 Industrial Park)

バンコク中心から140km、スワンナプーム国際空港から110kmに位置する工業団地です。


○ラムプーン県

タイ北部の山脈に囲まれた県である。バンコクからだと鉄道(寝台列車)で約13時間、バスで約9時間かかるがチェンマイからだと車で約45分のところにある。タイ族進出前のモン族の王朝であるハリプンチャイ王国の都として栄えた土地である。


・北部工業団地(Northen Region Industrial Estate)

バンコクから約690kmチェンマイ県より約30kmチェンマイ国際空港より約27kmのところにあるタイ工業団地公社が管理する工業団地です。


○ラーチャブリー県

タイ中部の県の一つで西にはミャンマーとの国境を有しています。県東部にはメークローン川と、それに連なる運河が流れています。その運河には観光地として有名なダムヌーンサドゥワック水上市場があります。


・ラーチャブリー工業団地(Ratchaburi Industrial Estate)

バンコクから約90km、スワンナブーム国際空港より約110kmのところにある工業団地です。


○ソンクラー県

タイ南部の県。県名はマレー語のシンゴラ(Singola:ライオンの意味)に由来する。これは近辺にライオンの様な山があるためである。県北部にはタイ最大の湖『ソンクラー湖』があります。


・ソンクラー県南部工業団地(Songkla Southern Region Industrial Estate)

タイ南部の深海港であるソンクラー港より約47km、ハートヤイ国際空港より16kmにある1995年に開発された工業団地です。マレーシア国境が近いため、マレーシアなどへの物流拠点として開発が行われています。


○パッターニー県

タイ南部の県。マレー半島のタイランド湾側に位置しています。


・ハーラール食品工業団地(Halal Food Industrial Estate)

2008年に開発された新しい工業団地です。テロなどによる影響から入居企業が決まらず開発計画が停滞しているものの、タイ南部開発の重要な工業団地として位置づけられており、タイ政府からも手厚い恩恵があります。


○チャチューンサオ県

タイ中部の県。バーンパコン川により形成された低地が広がるため稲作が盛んである。


・ウェルグロー工業団地(Well Grow Industrial Estate)

バンコクから約47km、スワンナブーム国際空港より約20km、タイ2番目のクローントゥーイ港(バンコク港)より約50kmに位置する工業団地です。


・ゲートウェイシティ工業団地(Gateway City Industrial Estate)

バンコクから約80kmにある工業団地です。強固な地盤の上にある敷地内には貯水池を備えており、裏手にある山から貯水池にかけての緩やかな傾斜は洪水を緩和する機能を持っています。


○チョンブリー県

タイ中部の県で海岸部はタイランド湾に接しています。タイの代表的な港湾であるレムチャバン港を有しています。


・アマタ ナコーン工業団地(Amata Nakorn Industrial Estate)

バンコクより約57km、スワンナブーム国際空港より約42km、レムチャバン港より約40kmにある好立地の工業団地です。そして敷地内には天然ガスを燃料として火力発電所を備えインフラが整っています。このことから進出している企業は300社を越えており、その約7割を日系企業が占めています。

(注:ナコーンというのはタイ語で都市を意味していますが、タイには別にアマタ シティー工業団地というものがあるため、これと区別するためにナコーンとなっています。)


・ピントーン工業団地(Pinthong Industrial Park)

バンコクから約95kmに位置する1995年に開発された工業団地です。レムチャバン港までは車で約10分、スワンナブーム国際空港までは約40分です。


・ヘマラート チョンブー工業団地(Hemaraj Chonburi Industrial Estate)

バンコクから約110km、レムチャバン港より約25kmに位置する工業団地です。敷地内には発電プラントを構えタイ国発電公社への売電事業を行っているほど、充実したインフラ設備が魅力です。


○ラヨーン県

タイ中部にある県で南部をタイランド湾に接しています。


・アマタ シティー工業団地(Amata City Industrial Estate)

バンコクより約114km、スワンナブーム国際空港より約99km、レームチャバン港より約27kmに位置する工業団地です。この工業団地は日本を含めた海外の企業を誘致するのに熱心なため、多くの日本企業が進出しています。特に自動車部品等の関連企業が多い


・マープタープット工業団地(Map Ta Phut Industrial Estate)

バンコクより約190km、工業港であるマープタープット港からは1kmという位置にある工業団地です。またレームチャバン港も近い。1988年に重化学工業団地として設立されました。


・イースタンシーボード工業団地(Eastern Seaboard Industrial Estate Rayong)

バンコクより約117km、レームチャバン港より約27km、マープタープット港より約51kmに位置する工業団地です。レームチャバン港が近いのもあって、トヨタやジェネラルモータースなどの自動車製造工場やそれらの関連工場が多い