タイ労働保護法(総論)

タイで労働法というと、労働保護法のことを指します。この労働保護法は1998年(仏暦 2541年)に発布されました。現在、2008年5月27日に一部の条文や賃金について改正された改正労働保護法が施行されていますが、ここではベースとなる1998年に発布された労働保護法について紹介致します。
但し、労働保護法の中でも重要な項目「雇用」「賃金」「勤務時間・休憩時間」「社会保険」などを別記事で紹介する際は改正労働保護法を合わせてご紹介致します。

■労働保護法と関連法律の日本語全文訳リスト
労働保護法令【第4版】(2011年)
労働保護法令【第2版】【第3版】(2008年)
労働保護法(2008年)
労働安全・衛生・環境法令(2011年)
*上記の各法律・法令は、JETROのウェブサイトへリンクしていますので、ご参照ください。

 

■目次
はじめに
冒頭 (第1条〜第6条)
第1章 総則 (第7条〜第22条)
第2章 一般労働使用(第23条〜第37条)
第3章 女性労働使用(第38条〜第43条)
第4章 児童労働使用(第44条〜第52条)
第5章 賃金・超過勤務手当て・休日勤務手当て・休日超過勤務手当て(第53条〜第77条 )
第6章 賃金委員会(第78条〜第91条)
第7章 福祉(第92条〜第99条)
第8章 安全・職業衛生・職場環境(第100条〜第107条)
第9章 労働管理(第108条〜第115条)
第10章 停職措置(第116条〜第117条)
第11章 解雇補償(第118条〜第122条)
第12章 不服申立て・審査(第123条〜第125条)
第13章 被雇用者福祉基金(第126条〜第138条)
第14章 労働検査官(第139条〜第142条)
第15章 書類送付(第143条)
第16章 罰則規定(第144条〜第159条)
付則(経過規定)(第160条〜第166条)

 

はじめに

労働保護法は、大まかにいうと三部構成となっています。先ず冒頭は、6つの条文からなっており、中核となる全16の章、そして末尾に付則(経過規定)として7つの条文が記載されています。
全16の章は、「第1章 総則」、「第2章 一般労働使用」、「第3章 女性労働使用」、「第4章 児童労働使用」、「第5章 賃金・超過勤務手当て・休日勤務手当て・休日超過勤務手当て」、「第6章 賃金委員会」、「第7章 福祉」、「第8章 安全・職業衛生・職場環境」、「第9章 労働管理」、「第10章 停職措置」、「第11章 解雇補償」、「第12章 不服申立て・審査」、「第13章 被雇用者福祉基金」、「第14章 労働検査官」、「第15章 書類送付」、「第16章 罰則規定」となります。


冒頭 (第1条〜第6条)

便宜上『冒頭』と記載しましたが、この原文において、冒頭部に表題はつけられておりません。
第1条から第6条までに法律の名称や語句定義や施行日、以前の法律(革命団布告)の廃止、労働保護法の適用範囲外(政府機関など)、労働保護法内の語句の定義、労働社会福祉大臣の権限が明記されています。

■労働保護法令【第3版】(2008年)での改定事項
・第3条で労働保護法 第5条(語句定義)で定義されていた語句「基礎最低賃金レート」が廃止されました。
・第4条で労働保護法 第5条に「職能標準に基づく賃金レート」の語句定義が増補されました。
■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第3条で労働保護法 第5条で定義されていた語句「使用者」の内容が変更されました。


第1章 総則 (第7条〜第22条)

第1章は、第7条から第21条で雇用者が被雇用者を雇う際に厳守すべき義務や規則が定義されています。第22条では、この労働保護法の適用外とされる業種において別の労働保護規定があることを明記されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第4条で労働保護法 第9条(使用者の不払いに対する懲罰金利)の内容が変更されました。 ・第5条で労働保護法 第10条(労働保証金)・第11条(労働債務優先権)の内容が変更されました。 ・第6条で労働保護法 第11条(労働債務優先権)に派遣労働者であっても一般の被雇用者と同じ福利が受けられることが増補されました。 ・第7条で労働保護法 第14条(民商法典との関係)に使用者に対する裁判所の権限が増補されました。 ・第8条で労働保護法 第16条(セクシャルハラスメントの禁止)・第17条(雇用契約期限終了と通知)・第18条(使用者の労働検査官への報告)の内容が変更されました。


第2章 一般労働使用(第23条〜第37条)

第2章は、第23条から第37条では雇用者が被雇用者を労働使用する際に厳守しないといけない規定を明記されており、また被雇用者の労働時における権利が定義されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第9条で労働保護法 第23条(勤務時間)の内容が変更されました。


第3章 女性労働使用(第38条〜第43条)

第3章は、第38条から第43条では雇用者が女性の被雇用者を労働使用する際に厳守しないといけない規定を明記されており、また女性の被雇用者の労働時における権利が定義されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第10条で労働保護法 第38条(禁止業務)・第39条(妊娠女性保護規定)の内容が変更されました。
・第11条で労働保護法 第39条(妊娠女性保護規定)に妊娠女性の深夜(22時から6時)の勤務禁止と事務などの軽作業の場合は妊娠女性の同意があれば残業させても良いということが増補されました。


第4章 児童労働使用(第44条〜第52条)

第4章は、第44条で15歳未満の子供を労働使用することが出来ないことが定義されています。第45条から第52条では18歳未満の子供を労働使用する際の規定が明記されております。。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第12条で労働保護法 第50条(就労禁止場所)・第51条(本人への賃金支払い規定)の内容が変更されました。


第5章 賃金・超過勤務手当て・休日勤務手当て・休日超過勤務手当て(第53条〜第77条)

第5章は、第53条から第77条で労働時に発生する賃金や手当てについて細かく定義されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第13条で労働保護法 第65条(超過勤務手当てのない業務)の内容が変更されました。
・第14条で労働保護法 第67条(年次休暇と解雇)の内容が変更されました。
・第15条で労働保護法 第75条(休業補償)の内容が変更されました。


第6章 賃金委員会(第78条〜第91条)

第6章は、第78条から第91条で最低賃金などの審議を行う賃金委員会に関する定義がされています。

■労働保護法令【第3版】(2008年)での改定事項
・第5条で労働保護法 第79条(権限)の内容が変更されました。
・第6条で労働保護法 第82条(会議)の内容が変更されました。
・第7条で労働保護法 第84条(小委員会)の内容が変更されました。
・第8条で労働保護法 第84条(小委員会)に賃金委員会に関する規定が増補されました。
・第9条で第87条(最低賃金レート設定)・第88条(大臣提出)・第89条(最低賃金レート適用対象の無差別化)・第90条(最低賃金レート遵守規定)・第91条(事務局)の内容が変更されました。

 


第7章 福祉(第92条〜第99条)

第7章は、第92条から第94条で労働福祉委員会の定義されています。第95条で雇用者による福祉制度制定を義務付けております。第96条から第99条で被雇用者数が50人以上の企業に対して事業所福祉委員会設置の義務や委員会運営に関する規定を明記されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第16条で第93条(労働福祉委員会の権限)・第94条(賃金委員会規定の準用)の内容が変更されました。


第8章 安全・職業衛生・職場環境(第100条〜第107条)

第8章は、第100条から第106条では職場安全・衛生・環境委員会の定義がされています。第107条で安全・職業衛生の観点から雇用者が被雇用者の健康診断を用意し診断結果を労働検査官に提出することを明記されています。

■労働保護法令【第4版】(2011年)での改定事項
・第3条より労働保護法 第100条から第107条まで廃止となり、労働安全・衛生・環境法令(2011年)に代替されています。
*労働安全・衛生・環境法令に関しては、今後別の記事で解説致します。


第9章 労働管理(第108条〜第115条)

第9章は、第108条から第115条で被雇用者数が10人以上に達した場合、雇用者が労働管理に関する規則や書類を作成することを義務付け、それらの作成方法や規定を定義されいます。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第17条で労働保護法 第115条(被雇用者名簿・賃金台帳の保管)で雇用者が労働局へ書類の送付をすることが義務となったことが増補されました。


第10章 停職措置(第116条〜第117条)

第10章は、第116条と第117条で被雇用者の過失があった場合の措置に関して定義されています。


第11章 解雇補償(第118条〜第122条)

第11章は、第118条から第122条で被雇用者を解雇する際の補償に関して定義されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第18条で労働保護法 第119条(解雇補償を支払わなくていいケース)・第120条(事業地移転と特別補償金)の内容が変更となりました。


第12章 不服申立て・審査(第123条〜第125条)

第12章は、第123条から第125条で被雇用者が労働保護法基づいて受け取れる権利がある金銭に関して雇用者に対し不服があった場合に審査を申し立てる権利と、審査に関して定義がされています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第19条で労働保護法 第124条(審査と命令)の一部の内容が変更されました。
・第20条で労働保護法 第124条(審査と命令)に条件付きで刑事告訴の取り下げをすることが増補されました。
・第21条で労働保護法 第125条(控訴)の一部の内容が変更されました。


第13章 被雇用者福祉基金(第126条〜第138条)

第13章は、第126条から第138条で被雇用者福祉基金の設立から運営など、業務に関する規定が明記されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第22条で労働保護法 第135条(賠償要求権)の内容が変更されました。


第14章 労働検査官(第139条〜第142条)

第14章は、第139条から第142条で労働検査官の権限や任務が明確に定義されています。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第23条で労働保護法 第141条(刑事不訴追の原則)の内容が変更されました。


第15章 書類送付(第143条)

第15章は、第143条のみで労働局 労働保護・福祉局局長や労働検査官が労働保護法に基づいた命令や文書を送付する際の規定がされています。


第16章 罰則規定(第144条〜第159条)

第16章は、第144条から第159条で労働保護法を違反した場合の処罰(罰金や罰則など)の規定がされています。

■労働保護法令【第4版】(2011年)での改定事項
・第4条で労働保護法令【第2版】第25条で増補されたものが廃止となり、労働保護法 第144条の内容が変更されました。
・第5条で労働保護法 第146条の内容が変更されました。
・第6条で労働保護法 第148条の内容が変更されました。
・第7条で労働保護法令【第2版】で変更された労働保護法 第151条の内容が再び変更されました。
・第8条で労働法 第154条・第155条が廃止となりました。

■労働保護法令【第2版】(2008年)での改定事項
・第24条で労働保護法 第144条の内容が変更されました。
・第25条で労働保護法 第144条の事業者に対する罰金が10万バーツ以下となったことが増補されました。
・第26条で労働保護法 第150条・第151条の内容が変更されました。
・第27条で労働保護法 第155条に第115条に増補された書類の送付を怠った場合の罰金が規定が増補されました。


付則(経過規定)(第160条〜第166条)

付則(経過規定)は、第160条〜第166条で、この労働保護法が発布される前の法律『革命団布告』を適用する例外があることを記載されております。

 

*2017年8月28日最終更新

 

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