ベトナムの工業団地
ベトナムには工業団地や輸出加工区、経済特区の制度を設けた特定の場所があります。それは企業や経営者、投資家を誘致する目的からとなっています。ここでは、ベトナム政府に認可された工業団地や輸出加工区、経済特区について紹介します。今、工業団地はベトナム全国に300弱、経済特区は50弱あります。これらの中には外国人投資家がベトナム国内企業と共同で開発した工業団地や輸出加工区も含まれています。
■ベトナムにおける主要な工業団地
○ハノイ市
ベトナムの首都である。ベトナム北部の中心に位置し交通における利便性が高くベトナム北部最大の港湾都市であるハイフォンへは約2時間という距離にある。
・ホアラックハイテク工業団地(ホアラックハイテクパーク)
ハノイ市内から約30km(車で約30分)に位置しているホアラックハイテク工業団地は1998年に政府が国家レベルのハイテク開発とそれらの応用のための研究センターのモデルとして設立を認可された工業団地です。この工業団地は単なる工業団地ではなく、筑波研究学園都市のような住居や教育施設を備えた学園都市を目標に開発されています。また将来は自前で技術者を供給する体制を目指しています。
この工業団地に進出している日系企業は三和シャッター工業株式会社、帝国通信工業株式会社などがあります。
・タンロン工業団地
ハノイ市からもノイバイ国際空港からも約16kmという好立地にあるタンロン工業団地は1996年に日本の住友商事とベトナム建設省管轄の国営企業との共同出資により開発が行われた工業団地です。
電気・ガス・水道・排水などのインフラ面が整備されていることや、日系の工業団地であることから人気が高く完売しています。そして入居企業の9割にあたる80社は日系企業が占めています。
この工業団地に進出している企業はキャノン、パナソニック、デンソー、TOTO、ヤマハなどがあります。
・ノイバイ工業団地
ハノイ市からは約35kmに位置しベトナム企業とマレーシア企業の合弁によって1997年に設立された工業団地です。
入居企業の半数以上が日系企業となっており、住友金属、ヤマハなどがあります。
○バクニン省
ハノイ市近郊に位置しています。ノイバイ国際空港からは約30分。国道が通っているのでハノイ市までは交通が便利です。世界最大のサムスンの工場があり電子産業で知られています。
・クエボ工業団地
バクニン省の中では最も大きな工業団地で国道18号線沿いに位置しています。そのためハノイ市・ハイフォン・クアンニン省やノイバイ国際空港への交通が便利です。
進出している日本企業は全体の1割程度となっており、三和シャッターなどがあります。
・VSIP3工業団地(VSIP バクニン工業団地)
ハノイ市から約18kmに位置するベトナムとシンガポールの企業によって開発された工業団地です。ベトナム南部 ビンズオン省にVSIP1&2があり、それらの成功を他の地域にもたらすという意向により2007年に開発が開始されました。
○ハイフォン
ベトナム北部最大の港湾都市である。ベトナムに5カ所ある中央直轄特別都市になっています。ハイフォン港は、ベトナム北部最大の港であり貿易の重要な地位を確立しています。
・VSIP4工業団地(VSIP ハイフォン工業団地)
ハイフォン港から約15kmに位置するベトナムとシンガポール企業によって2010年に開発された工業団地です。VSIPバクニン工業団地と同じ意図で開発されています。
・野村ハイフォン工業団地
ハイフォン港から約15kmに位置する野村グループによって1994年から開発されている工業団地です。ここにはコクヨや野村ホールディングスなどが進出しています。
○フンイエン省
ハノイ・ハイフォン・クアンニン経済三角地域に位置しており、ノイバイ国際空港までは約1時間、ハイフォン港までは約1時間30分という距離にあります。
・タンロン2工業団地
ハノイ市からは約33kmに位置しており、住友商事とベトナム企業の合弁によって設立された工業団地で、ハノイ市にあるタンロン工業団地が拡張出来なくなり新たな受け皿として開発されました。国道5号線沿いにあり、ハイフォン港からは約82kmと物流面の利点があります。
日系工業団地ということからも人気が高く第1期分はほぼ完売しています。ここに進出している日本企業はHOYAや文化シャッターなどがあります。
○ダナン市
ベトナム中部における最大の都市で、中央直轄特別都市となっています。ダナン国際空港や中部の貿易港であるダナン港があります。またベトナム・ラオス・タイ・ミャンマーを結ぶ東西経済回廊の東の起点に位置しています。ハイテクパークの開発やベトナム版シリコンバレーのITパークの開発が進んでいる。
・ホアカイン工業団地
ダナン市から車で約30分、ダナン国際空港からは約10kmに位置する工業団地で日系企業はマブチモーターやエースコックなどが進出しています。
○クアンガイ省
ベトナム中部の省で東に南シナ海がある。
・VSIP5工業団地(VSIP クアンガイ工業団地)
ベトナムとシンガポール企業によって2013年より開発されている工業団地。VSIPとしてはハイフォンに続く経済区への進出となる。
○ドンナイ省
ベトナム東南部に位置し、ホーチミン市から約30km。
・アマタ工業団地
ベトナム南北を結ぶ国道1号線に隣接し、ホーチミン市からは約30km(車だと約50分)に位置する伊藤忠商事が開発する日系の工業団地です。
入居する企業は資生堂、花王、YKKなどがあり、日系工業団地とあって日本企業が多く進出しています。
・ロテコ工業団地
1996年に双日株式会社とベトナム国防省傘下のタイソンコーポレーションとの合弁によって開発された工業団地です。ベトナム南北を結ぶ国道1号線とカイメップ・チーバイ港を結ぶ国道51号線に近い立地にあります。
入居する企業はスズキ、NECなどがあります。
・ロンドゥック工業団地
ロテコ工業団地の実績を活かして開発された日系の工業団地です。場所はホーチミン市より約42kmでタンソンニャット国際空港より約45km、そして、2020年開港予定のロンタン新国際空港からだと約14kmになります。交通の便利さだけでなく、標高が40m前後のなだらかな丘陵地帯であることから洪水の心配がありません。
○ビンズオン省
ホーチミン市北部に位置し、海外企業誘致に積極的です。最近では東急電鉄グループと鉄道や新都心の開発計画がある。
・VSIP1&VSIP2
ベトナム政府とシンガポール政府の協力案を元に設立された工業団地です。VSIPとはベトナム-シンガポール工業団地の略称である。この場所はベトナム南部の重点経済地域に位置しており、ホーチミン市から約17kmで、タンソンニャット国際空港や港からも近いロケーションにあります。
VSIPはベトナムにおける模範工業団地の一つに数えられ、バクニン省やハイフォン省などにもVSIPが設立されています。
日系工業団地ではないものの、立地条件などから入居する日本企業は多く、第一精工、GSユアサ、三菱商事などがあります。
○ホーチミン市
ベトナム最大の経済都市であり東南アジア有数の世界都市でもあります。
・タントゥアン輸出加工区
ホーチミン7区にあるベトナムで最も古い工業団地の一つ。
開発当初から多くの企業が進出しており、今では全体で165の内65社が日系企業となっており、古河電気工業、グンゼ、双葉電子工業などがあります。
○ロンアン省
ベトナムのメコンデルタ地帯に位置しておりホーチミンからは約19km。
・ロンハウ工業団地
ホーチミン市から南へ約19km、ヒェッブフック港から約3kmという位置にあるベトナム系の工業団地です。先述したように港から約3kmという好立地からベトナム系工業団地となっているものの、日系企業も多く入居しており、全体の約25%程を占めています。